げんしけん
- 作者: 木尾士目
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/06
- メディア: コミック
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憧れの咲と付き合えないのは「彼女がオタクではないから」と自分に言い聞かせ、それによって自分の魅力の不足から目を逸らしていた斑目。そして寿司屋での咲との会話からその事に気付き、決定的な敗北を思い知らされる斑目。
斑目はこの直後「ちゃんと就職考えよっかな」と嫌に前向きな台詞を吐く。だがこの台詞に空々しさを感じるのは俺だけだろうか?失恋→女に熱を上げている場合ではない→まず就職だというコンボは理解できるが、どうも動揺を隠すため、間を繋ぐために適当に喋っているだけに見える。それとも斑目はあの短時間で本当に咲をきっぱりと諦めたんだろうか。あのヘビのような男が?それはそれでカッコいい。実際、「あきらめつくんだし」のコマほどカッコいい斑目は見た事がなかったぞ!
そして最後の3コマ、電車のシーンは二人の完全な断絶を象徴している。「またオタクくさい事言ってるね」と咲に挑発されても、昼間のように反撃する事はなく、苦笑するだけの斑目。二人の視線は全く別の方向を向き、決して交わる事がない。この後下車するまでの間二人に会話が一言もなかった事、それどころか二人が一度も目も合わせなかっただろう事が容易に想像できる。斑目は最後のコマで眠っているかのように見えるが、これもほぼ間違いなく狸寝入りだろう。
これほど近いのに断絶している二人。傍目にはまるで赤の他人のような二人。恋の終わりがあのラスト3コマに凝縮されている。
同人誌の方は桜玉吉のコメントが一番面白かった。