お父さんのバックドロップ、イン・アメリカ

中島らもの名作が映画化されたらしい!検索して反応を読んでみたところ概ね
いい評価だったし、観てみようかな。
http://www.cqn.co.jp/backdrop/backdrop.html


中島らもが死んだ時に読んで感銘を受けた文章を見失ってたんだけど、随分探して
ようやく再発見した。俺もこういう書評が書けるようになりたいよ。
http://spocon.net/archives/2004/07/28/184929.html

テーマは家族の喪失と死者への思い。評価3。
アメリカに密入国し新生活を始めたアイルランド人家族。父母と姉クリスティ、妹の
アリエル4人だが彼らには以前フランキーという家族がいた。男児だったが脳腫瘍で
死んでしまい、両親は今もフランキーの死に捕らわれている。そして折に触れ自分を責め
たり夫婦間でフランキーの死の責任を擦り付け合ったりしている。
彼らはヤク中の蔓延るボロアパートに住み、働き始める。母はアイスクリーム屋、父は
役者のオーディション。・・・貧困と戦う日々。同じアパートに住む不気味な黒人マテオに
出会う家族。彼は芸術家で、よく叫んでいる事から「叫び男」と呼ばれている。
家族とマテオの交流が始まる。そんな折、母が身篭る。問題のある妊娠で、母子の命が
危険という事で入院を余儀なくされるが・・・。


ストーリーは終始クリスティの目線で語られる。
マテオの病気や新しい子供の病気についてほとんど詳しく語られていないのはそれを
反映している。
クリスティは、脳腫瘍で死んだ弟フランキーが、三つの願いごとを叶えてくれると
信じている。一つ目は国境を越える時、二つ目は父親が祭りの屋台のゲームで有り金
全部まきあげられそうになった時に使う。三つ目は?これは映画のオチにもなって
いるから書かない。クリスティの三つ目の願いは、一見マテオの「死者を忘れるな」って
考えに対立しているようにも思えるが、クリスティとマテオの関係を考えると、両者の
中間を取って「死者を忘れず、しかも死者にとらわれず」ってのが作品としての主張と
なるんだろうな。